いつでも優雅、どこでも可憐
振袖120%活用法
成人式ですてきな思い出をつくる振袖。
振袖選びの次は帯や小物選んでコーディネートです。
振袖は成人式のためだけの着物ではありません。
お友だちの結婚式、
ご自身の結納や相手のご両親へのあいさつ、親族のお祝いなど、
着用機会は少なくありません。
「でも、同じ組み合わせでは……」そんなときは小物をチェンジしたり、帯結びを変えたりして変化をつけることが可能です。
振袖を自由自在に着こなしてみましょう!
振袖用の帯は“長さ”が必要
振袖を一層華やかに彩るのが「帯」
振袖では首下から足元までが同じ色柄で覆われます。これを胴の中央で区切り、華やかにスタイル良く見せるのが帯の役割です。
特に振袖の場合はかなり上に帯を結ぶので、腰から下を長く見せるために大きな役割を担います。
振袖には「全通(ぜんつう)」
振袖に合わせるのは全通(帯全体に柄が入っているもの)が選ばれます。というのは、振袖では帯も振袖の豪華さに対応する華やかな帯結びをするからです。
柄が一部にしかないと可能な帯結びが限られ、場合によっては柄がほとんどない後姿になってしまいかねません。
といっても、全通であれば、何でもいいというものではありません。
「訪問着に合わせている金の帯、あれは全通だから丁度いいわ!」と思った方、残念!
たしかに、全通であり、地色も金や銀であれば着物と帯の格は揃いますが、これでは帯の長さが足りないこともあります。
通常、訪問着は二重太鼓に結びますが、振袖は変わり結びをしますので、その分、長さも必要です。やはり振袖用の帯を用意しておきましょう。
振袖との相性が大事
帯で個性を出す
帯の地色の特徴
・合わせやすく、どのような色にも映えるゴージャスな万能の「金」
・濃い色の振袖を明るく見せる「白」
・上品で落ち着いた雰囲気を出す「銀」
・引き締め効果があり、淡い色の振袖を大人っぽく演出する「黒」
そのほか、赤や緑などもあります。
帯の色別にだいたいの特徴をおさえておくと選ぶ際の参考になります。
振袖と帯の色合わせ
振袖と反対色の帯を選べば振袖を引き立てることになります。
柄に柄、色に色を重ねるのが和服の着こなしですから、上手に反対色を取り入れる装いは古典らしく、かわいらしい感じになります。
また、すっきりとした濃い色の振袖に白の帯の組み合わせは大人っぽく現代的です。
自分の好みのイメージを伝えてみましょう。
帯の柄はどう合わせる?
柄は好みですが、亀甲、菱、七宝、雪輪、植物などの古典柄が好まれる傾向にあります。
着物の柄を邪魔しないことも重要ですが、着物と同じ柄は避けたほうがいいでしょう。
例えば、着物に桜が描いてあれば、帯は桜を避けた方が無難なのです。
同じテイストの桜で揃えられればいいのですが、作家物や初めからデザインされているセットで揃える場合などを除いて、トータルコーディネートをすることは難しいものです。
であれば、着物の桜に対して亀甲や輪繋ぎなど幾何学的な模様を合わせ、帯と着物それぞれを引き立てるようにします。
帯で後ろ姿を極める!
帯は平面で見たときと、実際に結んでみたときとでは感じが違うものです。
特に後姿は背中のかなり上の部分に立体的に結んだ帯がきます。その存在感が着る人をほっそりと華奢にみせ、下半身を長く見せる役割を果たします。
さて、その帯の結び方には大きく分けて3つの系統があります。
①文庫 ②立て矢 ③二重太鼓 です。
この基本的な結び方をベースに羽を増やしたり、あえて羽の長さをアンバランスにしたり、帯飾りや飾り紐を加えたりといったアレンジを加えていきます。
また、帯揚げで花をつくるなどといったアレンジもあります。
①文庫
まず、文庫ですが、江戸時代の武家の女性の帯結びがベースです。
時代劇などでお馴染みのあの帯結び。ですから、清楚で上品な仕上がりです。
リボン形はとてもかわいらしく、可憐なイメージにしたいときにお勧めです。
小柄な方に似合う帯結びです。
②立て矢
立て矢は矢を背負ったように斜めに羽があります。
前から見ると左肩から少しこの羽が見えるため、ゴージャスになります。
また、後姿も帯が左右対称ではないため、キリリとしたスタイリッシュなイメージや、はつらつとした印象がある結び方です。
斜めに帯の羽があることから後上半身を帯が縦断する形になります。
長身の方にお勧めの帯結びです。
③二重太鼓
二重太鼓をアレンジする結び方――代表的なものはふくら雀。こちらは安定感、安心感があります。
ソフトで優美、オーソドックスな落ち着きが欲しいときはこの結び方です。
おしとやかなイメージがあります。
帯結びは、ご自身のイメージを伝え、着付け師さんへ相談してください。
また、会う相手や行先、目的によって帯結びを変えることで、一着の振袖も何通りにも着こなすことができるのです。
迷うのも楽しい、小物選び
帯結びでずいぶんイメージは変わりますが、更に雰囲気を変えるのが小物です。
帯揚げや帯締め、半襟や伊達襟などの合わせ方で、同じ振袖が違うように見えるのです。
振袖、帯と同時に購入、あるいはレンタルするときは帯の上に置いて見てみましょう。
帯締め
帯締めは身体の中央にある重要なポイント。パールやビジュー付きのものもあれば、オーソドックスな組み紐タイプもあります。
振袖の雰囲気に合わせて選びます。
振袖がモダンな柄つけであれば、ビジューなどが付いたものが良いでしょうし、古典柄であれば組紐などになります。
色は帯の地色と反対色が映えますが、金や銀が地色の帯の場合、多色遣いの帯締めを選択しても楽しいものです。
また、先端がいくつかに分かれているものは先端で花飾りをつくるなど、着付け時にバリエーションが楽しめます。
帯揚げ
帯を支える帯枕を包む役割を持ち、正面から見たときに振袖と帯の境目にくる「帯揚げ」もまた、コーディネートの上で目立つ部分です。
同色系で合わせるのではなく、振袖や帯のなかのアクセントになりそうな一色を選び、色を重ねていくようにすると着物ならではの着こなしができます。
半襟
半襟は一番顔に近い部分になるので、その色によって顔色の見え方も変わります。
正装ですから基本的に白地に白の刺繍などが間違いないですが、成人式の振袖の場合は豪華な多色使いの刺繍や柄物、キラキラとした素材感のものなど、多くの種類から選ぶことができます。
前日までに長襦袢に縫い付けておきましょう。
小物の組み合わせの答えは、一つではありません。
たくさん見て、多いに迷って、ご自身の気に入った最高の組み合わせを選んでくださいね!